はっきりした原因が解らないからこそ 早めの診断が不可欠!
炎症性腸疾患という病気があります。大腸及び小腸の粘膜に慢性の炎症または潰瘍を引き起こす原因不明の腸炎のことで潰瘍性大腸炎、クローン病に大別されます。
原因は腸内に棲む細菌のバランスが崩れたこととする細菌説。人間の免疫機構(体を外敵から守ろうとする体内の防衛システム)が体の一部であるはずの大腸の粘膜を敵として認識して攻撃し破壊しているという自己免疫異常説。また食生活やストレスが大きく関与している説などさまざまですが、結局はっきりした原因はわかっていません。 発症年齢は男性で20〜24歳、女性で25〜29歳をピークとします。
初期の症状は腹痛とともにゼリー状の粘液が排便時に多くなり下痢の傾向になります。放置しておくと粘液の量が増えるとともに血液が混じるようになり(粘血便)、血便が出るようになります。さらにひどくなると一日に何十回も粘血便を繰り返し体重も減少します。まれに便秘も認められます。
一般に経過は緩やかで悪くなるとき(再燃)と、良くなるとき(緩解)を繰り返しますが、電撃的に急激な発熱と粘血便で発症するときもあります。多くの場合薬物療法や食事療法にて一時的もしくは永続的に症状は緩解しますが、症状が改善されても医師の指示があるまでは通院する必要があり、特に慢性持続型、発症から10年以上経過している例、全結腸型の例では癌化の心配もあり定期的検査が必要です。